水平リサイクルが拓く協働のかたち ― 再生アルミが結ぶ産業の輪

つながりで広がる水平リサイクル ― 再生アルミが結ぶ産業の輪
2025年9月29日付の「日刊産業新聞」にて、春田産業株式会社・日本圧延工業株式会社・パナソニック株式会社の3社が進めるアルミ水平リサイクルの実用化連携が紹介されました。
この取り組みは、製造現場で発生する工程スクラップを回収し、使用済みアルミとして再び同一製品群に循環させるという、まさに“真の循環型ものづくり”を形にしたプロジェクトです。
これまでのアルミリサイクルは、異なる用途や合金へ再利用される「垂直リサイクル」が主流でした。
しかし、展伸材を同じ展伸材として再利用する水平リサイクルは、成分の管理や品質保証が難しく、実現のハードルが高いとされてきました。
この課題を、3社がそれぞれの得意分野を生かして協働で乗り越えたことに大きな意義があります。
工程スクラップを“製品へ戻す”しくみ
このプロジェクトでは、春田産業が各拠点で発生したアルミスクラップを回収・管理し、日本圧延工業がそれを溶解・圧延して再生アルミ材へと再生。
その素材をパナソニックが製品製造に再利用するという、サプライチェーン全体で循環する仕組みを構築しています。
これまでのリサイクルでは「スクラップを素材に戻す」までが一般的でしたが、今回の取り組みはその先にある「素材を再び製品へと戻す」ことを目指しています。
まさにこの点が、“水平リサイクル”の本質です。
また、再生材であっても新地金と同等の品質を保つ体制が整えられました。
これは再生アルミへの信頼を支える重要な要素であり、高い品質と効率的な資源の活用を両立することで、グリーンアルミとしての価値をさらに高めています。
加えて、リサイクル材の使用を拡大することは、CO₂の排出削減に直接つながります。
水平リサイクルの導入率が上がることで、エネルギー消費を抑えながら持続可能な事業運営にも貢献しています。
この取り組みは、企業のサステナビリティ方針とも強く結びついています。
再生アルミがもたらす“協働の価値”
水平リサイクルは、環境負荷を減らす技術であると同時に、金属資源を大切に使い続けるために必要な取り組みでもあります。
企業同士が信頼関係を育み、共に価値を生み出すこの仕組みは、ものづくりの根幹を支える新たな形です。
春田産業が持つアルミスクラップの回収・管理のノウハウ、日本圧延工業が持つ溶解・圧延して再生アルミ材へと再生する技術、そしてパナソニックが持つ製品製造に再利用する実績。
それぞれの強みを活かすことで、初めて安定した循環が実現しました。
この連携は「グリーン調達」「CO₂削減」「サステナブルなサプライチェーン」にも直結します。
再生アルミの安定供給は、環境と経済の両面でメリットをもたらし、
日本のアルミ産業が“循環型社会の中核”として発展していく可能性を示しています。
循環を生み出すのは、技術だけではない
今回の連携は、リサイクル技術の進化にとどまりません。
異なる業種・工程・企業が手を取り合い、エネルギーや資源の消費を抑えながら共通の目的に向かって協働する姿勢こそが、真の循環を生み出しています。
再生アルミの水平リサイクルは、素材の命をつなぐだけでなく、企業同士、そして人と社会の信頼をも循環させる取り組みです。
また、各社が共有する情報の透明性が、より確かな循環を支えています。
これからのアルミリサイクルは、“つくる責任”から“一緒に続ける責任”へ。
日本圧延工業は、グリーンアルミを通して持続可能なものづくりを支える一員として、
これからも協働の輪を広げ、循環型社会の実現に貢献してまいります。
当社の取り組みはこちら
https://www.nichiatu.co.jp/nice.html




