アルミの水平リサイクル-N I C E-
1.アルミ二ウムのリサイクルの特徴
ボーキサイトからアルミニウムを金属として取り出すことに非常に大きな電力を必要とするアルミの新地金は、それに伴ってCO2の排出量も関連して大きくなります。
数値で言うとその際に10.8㌧のCO2を排出すると言われております。
つまり自動車や身の回りにある小さな部品ひとつでも、生産までのプロセスでかなりのエネルギーを消費することとなっております。

このことからアルミ製品製造時の原料にリサイクルアルミ原材料を使用することは、CO2排出量を減少させる観点から非常に効果が高く、カーボンニュートラルの実現にも大きな可能性を持っていると考えられています。
今やさまざまな業界や会社の方針で環境配慮は推進されています。
以上のことから常に最新の情報を取り入品質に取り入れていくこと、確立することが大切と私たちは考えております。
2.最新の循環使用(リサイクル)率約64%
アルミのリサイクルといえば、よくリサイクルのマークを見かける飲料用アルミ缶やサッシのイメージがあるかと思います。
その通り、アルミ展伸材の水平リサイクルはアルミニウム業界では管理も難しくなかなか実現に至っていないのが現状です。
然しながら、当社では他のアルミ圧延メーカーに先駆け自動車部品、電線被覆材等、用途を問わずアルミ展伸材を新たな展伸材に再生する水平リサイクルに挑戦し続けてきました。

リサイクルや環境を事業とするグループ会社の協力もあり、その結果、2012年度に3.9%の記録だった当社の循環アルミ使用率は2024年度時点で約64%にまで上昇しております。
また、比例してCO2排出量も非常に少なく済んでおります。
なぜならば技術的な理由として、当社の製造方法ではスラブ鋳造は行わずアルミ溶湯から板を直接作り出す連続圧延法(CC法)を採用しているためです。
お客様の工場から出たスクラップや製品を回収させていただき、データを取りながら成分の分析、溶解、製造、出荷に至ります。
その他、溶解炉へのリジェネバーナーの導入や製造ラインの効率化を進め、工場から排出されるCO2の削減に、より一層努めております。
これらの活動や取り組みは、お客様の素材・材料採用の段階からエネルギー効率の改善・CO2排出量の低減を目指し、お客様が定める環境目標の達成に大きく貢献することが可能と考え、積極的に案内させていただいております。
3.アルミ二ウムのリサイクル状況
アルミニウムはトップで優れたリサイクル性を有する金属として知られています。
アルミ鋳造材のほぼ100%が循環アルミで製造されており、混入する異金属(特に鉄やケイ素)への許容度が高いため、資源循環の状況は非常に高いリサイクル率を示しています。
このようにアルミスクラップの受け皿となってきました。
然しながら一方で、展伸材での循環アルミ使用比率はアルミ業界全体で10%程度と低い水準に留まっています。
その理由として展伸(圧延・押出)という工程は、金属に圧力をかけて変形させる加工であり、異金属の濃度が高いとワレ等が生じます。
それによって柔軟な加工が行えなくなるのです。
以上のことから、スクラップの回収段階でアルミニウムの異種合金の混在の管理と、異金属の混入によるアルミ純度の劣化を防ぐ対応策が必要等、課題が多く循環使用率を上げるには困難を極めているのが実情です。

※上記はあくまでも当社独自の調査によるものです
当社の「リサイクル材使用量」と「循環使用率」の推移

◆主要参考文献
一般社団法人日本アルミ二ウム協会『アルミニウムVISION2050』(2020年)
一般社団法人日本アルミ二ウム協会サーキュラーエコノミー委員会『資源循環を通じた脱炭素に向けた日本アルミ二ウム協会の取り組みについて』(2024年)
アルミ圧延業界の循環アルミ使用比率と当社比率(2024年7月31日現在)

※上記はあくまでも当社独自の見解です
4.アルミ展伸材の水平リサイクルの現状
使用済み製品から同種の合金種を混在せず集め、元の製品の材料として再生し活用・利用する手法です。
飲料用アルミ缶とアルミサッシは特にこれが実現できております。
特に2020年のアルミ缶のリサイクル率は94%と非常に高く、また、アルミ缶を新たなアルミ缶の原料として使用する水平リサイクルも71%とこちらも非常に高い値となっております。
これが実現できているのは、アルミ缶が使用済みアルミ缶として回収される社会的なシステムが構築できていることが大きな要因と考えられています。

※上記はあくまでも当社独自の調査によるものです