N I C E〜日圧のアルミの水平リサイクル〜
1.アルミ二ウムのリサイクル性能について
アルミニウムの新地金はボーキサイトからアルミニウムを金属として取り出す事に非常に大きな電力を必要とし、それに伴うCO₂排出量も大きくなります。
その際に10.8トンのCO₂を排出すると言われております。
つまり自動車や身の回りにある小さな部品ひとつでも、生産までかなりのエネルギーが必要となっております。

効果が高く、カーボンニュートラルの実現にも大きな可能性を持っていると考えられます。
2.日本圧延工業の挑戦 〜最新の循環使用(リサイクル)率約59%〜
アルミ展伸材の水平リサイクルはよくリサイクルのマークを見かける飲料用アルミ缶とアルミサッシを除いてアルミニウム業界ではほぼ実現に至っておりません。
然しながら、当社では他のアルミ圧延メーカーに先駆け自動車部品、電線被覆材等、用途を問わずアルミ展伸材を新たな展伸材に再生する水平リサイクルに挑戦し続けて来ました。

その結果、2012年度に3.9%であった当社の循環アルミ使用率は2024年度時点で59%にまで上昇しております。
また、CO₂排出量も非常に少なく済んでおります。
なぜならば、当社の製造方法として他とは違いスラブ鋳造は行わず、アルミ溶湯から板を直接作り出す連続鋳造圧延法を採用しているためです。
その他、溶解炉へのリジェネバーナーの導入や製造ラインの効率化を進め、工場から排出されるCO₂のより一層の削減に努めております。
これらの取り組みは、お客様の材料採用段階からのエネルギー効率の改善やCO₂排出量の低減に寄与し、お客様が定める環境目標の達成に大きく貢献できるものと考え、案内させていただいております。
3.アルミ二ウムのリサイクル状況
アルミニウムは極めて優れたリサイクル性を有する金属として知られています。
実際にアルミニウム製品の製造における、資源循環の状況は非常に高いリサイクル率を示しています。
なぜならば、アルミ鋳造材のほぼ100%が循環アルミで製造されているためです。
アルミ鋳造材は混入する異金属(特に鉄やケイ素)への許容度が高いため、アルミスクラップの受け皿となってきました。
然しながら一方で、展伸材での循環アルミ使用比率はアルミ業界全体で10%程度と非常に低い水準に留まっています。
その理由は展伸(圧延・押出)という工程は、金属に圧力をかけて変形させる加工であり、異金属の濃度が高いとワレ等が生じます
それによって柔軟な加工が行えなくなります。
そのため、アルミスクラップの回収段階でアルミニウムの異種合金の混在と、異金属の混入によるアルミ純度の劣化を防ぐ対応策等が必要であったり、課題が多く循環使用率を上げるには困難を極めているのが実情です。

※上記はあくまでも当社独自の調査によるものです
当社の「リサイクル材使用量」と「循環使用率」の推移

◆主要参考文献
一般社団法人日本アルミ二ウム協会『アルミニウムVISION2050』(2020年)
一般社団法人日本アルミ二ウム協会サーキュラーエコノミー委員会『資源循環を通じた脱炭素に向けた日本アルミ二ウム協会の取り組みについて』(2024年)
アルミ圧延業界の循環アルミ使用比率と当社比率(2024年7月31日現在)

※上記はあくまでも当社独自の見解です
4.アルミ展伸材の水平リサイクルの現状
上記のように対応策の一つが製品to製品に代表される水平リサイクルです。
使用済みの製品から同種の合金種を混在せず集めて元の製品の材料として再生し活用・利用する手法です。
現時点でこれが実現できているのは主に飲料用アルミ缶とアルミサッシです。
特に2020年のアルミ缶のリサイクル率は94%と非常に高く、
また、アルミ缶を新たなアルミ缶の原料として使用する水平リサイクルも
71%とこちらも非常に高い値となっております。
これが実現出来ているのは、アルミ缶が使用済みアルミ缶として回収される社会的なシステムが構築出来た事が大きな要因と考えられています。

※上記はあくまでも当社独自の調査によるものです