1. アルミニウムスラグのリーディングカンパニー 日本圧延工業株式会社
  2. 環境社会への取り組み

Nichiatu Improvement and Commitment to the Environment
〜お客様の環境目標の実現に向けて〜

NICEとは
『アルミ展伸材の水平リサイクルを中心とした当社の環境社会に対するその取り組み』
の総称です。

~Nichiatu Improvement and Commitment to the Environment~

  • エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • つくる責任 つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を
  • パートナーシップで目標を達成しよう

世の中に物が溢れだした現代、欲しい物は比較的簡単に手に入るようになりました。同じ様な商品やサービスが並ぶ中で、企業は自社の商品をどのようにポジショニングするか?という事は、ますます重要になってきました。これまで通り、より高機能で高性能な物づくりを目指す事も必要です。然しながら一方で、環境問題への取り組み等、「社会をより良くする精神」に訴えかける価値主導のマーケティングこそが、これからの物づくりには最も重要であると私たちは考えています。また、世の中全般にSDGs(持続可能な開発目標)の浸透もあいまって我々企業に求められる社会的責任も大きく変わりつつあります。そんな中、当社ではお客様の材料採用段階からのエネルギー効率の改善やCO₂排出量の低減に寄与し、お客様が定める環境目標の達成に貢献できるアルミ素材メーカーを目指し日々取り組んでいます。

1.アルミ二ウムのリサイクル性能について

アルミニウムの新地金はボーキサイトからアルミニウムを金属として取り出す事に非常に大きな電力を必要とし、それに伴うCO₂排出量も非常に大きくなります。その量は新地金1トンの製造で約21,100kWhの電力量を必要とし、9.24トンのCO₂を排出すると言われております。

一方でアルミのリサイクル材から製造する再生地金の場合は、必要とする電力量は新地金製造時のわずか2.8%程度で、CO₂排出量は3.3%程度に減らす事が可能と言われております。

この事からアルミ製品製造時の原料にリサイクル材を使用する事は、CO₂排出量を減少させる観点から非常に効果が高く、SDGsの実現にも大きな可能性を持っていると考えられます。

アルミ二ウムのリサイクル性能について

アルミ二ウムの新地金と再生地金製造時のエネルギー量とCO₂排出量の比較

新地金と再生地金製造時の電力の比較
新地金と再生地金製造時のCo2排出の比較

※上記はあくまでも当社独自の調査によるものです

2.アルミ二ウムのリサイクルの状況

アルミニウムは極めて優れたリサイクル性を有する金属として知られています。実際にアルミニウム製品の製造における、資源循環の状況は非常に高いリサイクル率を示しています。

それを可能にしているのは、アルミ鋳造材のほぼ100%が循環アルミで製造されている為です。アルミ鋳造材は混入する異金属(特に鉄やケイ素)への許容度が高い為、アルミスクラップの受け皿となってきました。然しながら一方で、展伸材での循環アルミ使用比率はアルミ業界全体で10%程度と非常に低い水準に留まっています。

その理由は展伸(圧延・押出)という工程は、金属に圧力をかけて変形させる加工であり、異金属の濃度が高いとワレ等が生じ、柔軟な加工が行えなくなります。その為、アルミスクラップの回収段階で不可避的に生じるアルミニウムの異種合金の混在と、異金属の混入によるアルミ純度の劣化を防ぐ対応策が必要となる等、課題が多く困難を極めているのが実情です。

アルミ二ウムのリサイクルの現状

※上記はあくまでも当社独自の調査によるものです

3.アルミ展伸材の水平リサイクルの現状

その対応策の一つが製品to製品に代表される水平リサイクルです。

使用済みの製品から同種の合金種を混在せず集めて元の製品の材料として再生し活用する手法です。現時点でこれが実現できているのは主に飲料用アルミ缶とアルミサッシです。

特に2020年のアルミ缶のリサイクル率は94%と非常に高く、また、アルミ缶を新たなアルミ缶の原料として使用する水平リサイクルも71%とこちらも非常に高い値となっております。

これが実現出来ているのは、アルミ缶が使用済みアルミ缶として回収される社会的なシステムが構築出来た事が大きな要因と考えられています。

アルミ展伸材のリサイクルの現状

※上記はあくまでも当社独自の調査によるものです

4.日本圧延工業の挑戦 〜展伸材to展伸材の水平リサイクルに向けて〜

アルミ展伸材の水平リサイクルは飲料用アルミ缶とアルミサッシを除いてアルミニウム業界ではほぼ実現に至っていないのが実情です。然しながら、当社では他のアルミ圧延メーカーに先駆け自動車部品、電線被覆材等、用途を問わずアルミ展伸材を新たな展伸材に再生する水平リサイクルに挑戦し続けて来ました。

日本圧延工業の水平リサイクル

その結果、2012年に3.9%であった循環アルミ使用率は2021年時点で40%にまで上昇しております。また、当社の製造方法はスラブ鋳造は行わず、アルミ溶湯から板を直接作り出す連続鋳造圧延法を採用しておりますので、CO₂排出量は非常に少なく済みます。その他、溶解炉へのリジェネバーナーの導入や製造ラインの効率化を進め、工場から排出されるCO₂のより一層の削減に努めております。これらの取り組みは、お客様の材料採用段階からのエネルギー効率の改善やCO₂排出量の低減に寄与し、お客様が定める環境目標の達成に大きく貢献できるものと考えています。

アルミ展伸材における循環アルミの比率と当社比率(2021年4月現在)

アルミ圧延業界全体 日本圧延工業

※上記はあくまでも当社独自の見解です

当社の「CO₂排出量」と「循環アルミ使用比率」の推移

「CO₂排出量」と「循環使用比率」

主要参考文献:『アルミニウム VISION2050』一般社団法人 日本アルミ二ウム協会